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小規模事業者のための簿記講座【第3弾:勘定科目の全体像を把握しよう】

個人事業を営むうえで、日々の取引を記録し、事業の財務状況を把握することは非常に重要です。そのために必要なのが「簿記」の知識です。本記事では、勘定科目の全体像について、より具体的な例を交えながら解説します。

1. 勘定科目とは? – 5つの基本分類

取引を整理するために用いられるのが「勘定科目」です。これらは以下の5つのグループに分類されます。

分類 内容 具体例
資産 事業が所有する財産や権利 現金、普通預金、売掛金、備品、車両
負債 将来支払う義務のあるもの 借入金、未払金、買掛金
純資産 事業主の元入金や利益 元入金、事業主貸、事業主借
収益 事業の収入 売上、受取手数料
費用 事業運営に必要な支出 仕入れ、水道光熱費、通信費、広告宣伝費

このように、事業の取引は必ずいずれかの勘定科目に分類されます。

2. 事業主がよく使う勘定科目の一覧

個人事業主が日常的に使う勘定科目をもう少し詳しく見てみましょう。

資産(事業の財産)

現金:手元にある現金

普通預金:銀行口座にある預金

売掛金:商品・サービスを提供したが、まだ受け取っていない代金

備品:事業で使う机、椅子、パソコンなど

負債(将来の支払い義務)

借入金:銀行や知人から借りたお金

未払金:まだ支払っていない経費(例:未払の家賃や光熱費)

買掛金:仕入れた商品・材料の未払い分

純資産(事業主の資本)

元入金:開業時に投入した自己資金

事業主貸:事業のお金を個人的な支出に使った場合

事業主借:個人のお金を事業に入れた場合

収益(事業の収入)

売上:商品・サービスの提供による収入

受取手数料:他社のサービスを紹介して受け取る手数料

費用(事業の運営費)

仕入:販売するために購入した商品・材料

水道光熱費:電気代、ガス代、水道代

通信費:インターネットや電話代

広告宣伝費:チラシ、Web広告、SNS広告の費用

減価償却費:高額な設備を数年に分けて経費にするもの(例:車両、機械)

3. 具体例を使った勘定科目の分類練習

以下の取引を仕訳の形で示します。

取引例1:

「お客様に商品を5,000円で販売し、現金で受け取った。」

(借方)現金 5,000円 / (貸方)売上 5,000円

取引例2:

「仕入先から商品を3,000円で仕入れ、後払いにした。」

(借方)仕入れ 3,000円 / (貸方)買掛金 3,000円

取引例3:

「事業用のパソコンを10万円で購入し、銀行振込で支払った。」

(借方)備品 100,000円 / (貸方)普通預金 100,000円

取引例4:

「銀行から50万円を借り入れ、事業用の口座に入金した。

(借方)普通預金 500,000円 / (貸方)借入金 500,000円

取引例5:

「事業用の売上金の一部を個人的な生活費に使った(2万円)。」

(借方)事業主貸 20,000円 / (貸方)現金 20,000円

まとめ

勘定科目を正しく理解し、日々の取引を適切に記録することで、事業の財務状況を明確に把握できます。これを習慣づけることで、確定申告の準備もスムーズに進みます。まずは基本の勘定科目を押さえ、実際の取引を分類する練習をしてみましょう。

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